ChatGPT Spaceは、ChatGPTの画面に新しく追加された「Space」タブからアクセスする共有ワークスペースだ。これまでの「Library」を置き換える形で導入され、OpenAIは「チームがAIと一緒に仕事を終わらせるための新しい拠点」と説明している。なお、チャットやファイルを整理する「Projects」タブ自体は引き続き残る。
Space内で中心になるのが「Pages」という新しい文書の形式だ。見出し・段落・表などをブロック単位で組み立てられるシンプルな構成で、文章の執筆・リサーチ・チャートや画像の生成・チェックリストの整理・情報の可視化までを1つの画面でこなせる。既存のChatGPT会話をワンクリックでPage化でき、必要に応じてページ同士を関連づけて整理することもできるという。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年9月29〜30日(DevDay 2026、サンフランシスコ) |
| 中心機能 | Pages(人とAIが共編集する文書) |
| 今後追加予定 | Collaborative Slides(共同編集スライド、数週間以内) |
| 対応デバイス | デスクトップアプリ・ウェブ(モバイルは閲覧・共有のみ) |
| 置き換えられる機能 | Library(Projectsタブは継続) |
※ Computerworld、Androidheadlinesの報道に基づく。
Spaceの目玉機能のひとつが、macOSデスクトップアプリ向けの会議自動要約だ。通話中の音声を自動で認識し、要約とアクション項目を生成してSpace内のPageに直接保存する。報道によれば音声データは会議メモ作成後に削除され、再生・アクセスはできなくなる一方、生成された要約とアクション項目はPageに残る設計になっている。
Business・Enterpriseユーザー向けには、SlackやMicrosoft Teamsのチャンネル内で「@ChatGPT」と呼びかけることで、スレッドの要約やプレゼン資料のたたき台を自動生成できる機能も用意された。これまでの「ChatGPTを別タブで開いて聞きに行く」使い方から、普段使っているチャットの中で完結する使い方への移行を狙っているとみられる。
ChatGPT Spaceの対象プランはPro・Business・Enterpriseで、Plus(月20ドル)は対象外となっている。Computerworldの取材に対し、OpenAIは法人向けの詳細な価格設定について回答しなかったといい、Space単体の追加料金は本稿執筆時点で公表されておらず、利用には対象となるPro・Business・Enterpriseプランへの加入が必要になる。
プライバシー面では、社内ファイルを保護する「Private Intelligence system」という仕組みが用意されており、アップロードした資料がAIの学習データセットから除外されることが確認されているという。
| プラン | Space/Pages | 会議自動要約 | Slack/Teams連携 |
|---|---|---|---|
| Plus(月20ドル) | 対象外 | 対象外 | 対象外 |
| Pro(月200ドル) | 対応 | 対応(macOS) | 記載なし |
| Business | 対応 | 対応(macOS) | 対応 |
| Enterprise | 対応 | 対応(macOS) | 対応 |
※ Computerworld、Androidheadlinesの報道に基づく。価格・提供範囲は変更される可能性がある。
OpenAIが同時に発表した「Collaborative Slides」は、本稿執筆時点ではまだ利用できない。報道によれば「数週間以内に展開予定」とされ、複数人での同時編集・コメント機能に加え、PowerPointやGoogle Slidesへの書き出しにも対応する計画だという。なお、OpenAI公式は共同編集スプレッドシートも今後追加予定としており、これらが揃うことでMicrosoft 365やGoogle Workspaceとの機能比較がさらにしやすくなりそうだ。
※ 各社公式情報・報道をもとに作成。価格は変更される場合がある(2026年10月時点)。
Microsoft 365 Copilotは、Word・Excel・PowerPoint・Teamsといったすでに多くの企業が使っているアプリの中に組み込まれているのが強みだ。価格は年間契約で月30ドル(Copilotの追加分のみ)で、これとは別に対象のMicrosoft 365ライセンス自体を保有している必要がある。
Google Workspaceは2025年3月、GeminiをStandardプラン以上に標準搭載する形に料金体系を整理しており、現在はBusiness Standard(月14ドル〜、年契約)であればGeminiの主要機能を追加料金なしで利用できる。DocsやSheets、Slidesに最初から組み込まれている点が特徴だ。
対してChatGPT Spaceは、既存のオフィスアプリの中にAIを追加するというより、ChatGPTを中心にページ・ファイル・AI・チームの共同作業をまとめるアプローチを取っている。もっとも、Slack・Teamsとの連携やWord向けアドインなど、既存ツールとの接点も用意されており、乗り換えを一方的に迫る設計とまでは言えない。Computerworldは「Microsoft・Google・Notionはすでに確立されたワークフローに統合されているため、OpenAIは単なる機能追加ではなく、チーム全体の作業環境としての採用を求めている」と指摘しており、ここが大きな違いの一つだ。
| サービス | 提供元 | 統合先 | 最安プラン目安 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT Space | OpenAI | 新規のSpace/Pages(既存アプリへの依存なし) | Pro〜(価格非公開) |
| Microsoft 365 Copilot | Microsoft | Word・Excel・PowerPoint・Teams | 月30ドル+M365ライセンス(年契約) |
| Google Workspace(Gemini) | Docs・Sheets・Slides・Gmail | Business Standard 月14ドル〜(年契約) |
※ Computerworld、ExplainX、eesel.aiの情報に基づく。各社の料金・提供条件は変更される場合がある。
今回のChatGPT Space発表は、ChatGPTが単発の質問に答えるチャットボットから、チームの資料・議事録・スライドが集まる「仕事場そのもの」へ領域を広げようとしていることを示している。会議の自動要約やSlack・Teams連携は、すでに多くの企業が使っているツールの隙間に入り込む形で設計されている点も特徴的だ。
ただし、Microsoft 365やGoogle Workspaceはすでに日常業務に組み込まれた実績を持っており、乗り換えのハードルは小さくない。共同編集スライドが実際にどこまで使えるか、そして法人向けの価格がいくらになるかが、ChatGPT Spaceが本当の競合になれるかどうかの分かれ目になりそうだ。
参考リンク: ProPakistani / Computerworld / Androidheadlines / ExplainX(Microsoft 365 Copilot料金) / eesel.ai(Google Workspace料金)