【2026年8月26日発表】SalesforceとAnthropicが「Claudeforce」提携|Claudeから37の営業スキルでCRM操作、9月ベータ開始

SalesforceとAnthropicがClaudeforce提携を発表
この記事のポイント

Salesforce(セールスフォース)とAnthropic(アンソロピック)は2026年8月26日、両社の戦略的提携を大きく拡大する取り組み「Claudeforce(クロードフォース)」を発表した。Salesforceが自社製品以外の名称に「force」を付けたのは今回が初めてとされ、両社はこれを「#1のAIが#1のAI CRMと組む」と表現している。発表はSalesforceの2027会計年度第2四半期(FY27 Q2、2026年7月31日締め。Salesforceの会計年度は暦年より1つ先に進む)の決算と同じタイミングで行われた。

Claudeforceは、Anthropicの「Claude」が持つ推論能力と、Salesforceが持つ顧客データ・業務ロジック・権限管理を組み合わせ、営業や業務のエージェント的な作業を「仕事が発生する場所」で動かせるようにするのが狙いだ。その第一弾が「Salesforce in Claude」で、Claude(Coworkを含む)上で動くプラグインとして提供される。

項目内容
発表日2026年8月26日(Salesforceの第2四半期決算と同時)
名称Claudeforce(提携の総称)/第一弾は「Salesforce in Claude」
形態Claude・Cowork上で動くプラグイン(MCPベース)
初期スキル数事前構築済みの営業スキル 37個
主な用途商談準備、案件の健全性レビュー、パイプラインレビュー・更新
提供時期パイロット顧客に提供中/2026年9月にオープンベータ予定
今後の拡大サービス・マーケティング・コマース向けスキルを2026年第3四半期以降に順次追加

「Salesforce in Claude」で何ができるのか

Salesforce in Claudeは、営業担当者やエージェントがClaudeの画面から直接、Salesforce内の最新の売上・案件情報をもとに考え、パイプラインの更新などのアクションを実行できるようにするものだ。公開されている用途としては、会議前のブリーフ作成(商談準備)、案件が順調かどうかの健全性レビュー、パイプライン全体のレビューといったものが挙げられている。

ポイントは、これらの作業のためにSalesforceのアプリを開き直す必要がない点だ。Salesforceはこの方向性を「UIがAIになる」と表現しており、担当者はClaudeとの対話の中で必要な情報を引き出し、その場でCRMに書き戻せるという想定になっている(既存のSalesforce画面がすぐに不要になるという意味ではなく、日常的な操作の入り口が変わるという構想だ)。初期に用意される37個のスキルはすべて営業領域向けで、サービス・マーケティング・コマース向けの追加スキルは2026年第3四半期から順次提供される予定だとされている。

Salesforce in Claudeでできる3つの作業

仕組み:MCP連携と「権限の継承」

Salesforce in Claudeは、Model Context Protocol(MCP)と呼ばれる仕組みを使ってSalesforceのデータやアクションにつながる。報道によれば、認証や接続の設定は管理者がまとめて行う形で、利用者ごとに個別のMCP設定をする必要はないとされる。

権限まわりでは、Salesforce側で設定されているアクセス権・共有ルール・項目レベルのセキュリティに基づいてアクセスが制御される点が強調されている。ある担当者が特定のレコードを見る権限を持っていなければ、Claude経由でも同じように参照できない、という考え方だ。規制業種向けには、Salesforceの「トラスト境界」の内側でClaudeを動かす構成も引き続き用意されるとされている。

ポイント:Claudeforceの現時点の主役は「Salesforce in Claude」プラグインだが、両社はこれにとどまらず、Claude・Salesforce・Slackをまたいだ統合を今後さらに広げるとしている。SlackやAgentforce(エージェントフォース)の一部でClaudeを既定のモデルとして選べるようにする動きも案内されている。

提供スケジュールと今後の統合

提供は段階的だ。まず一部のパイロット顧客に提供され、2026年9月にオープンベータへ移行する予定。営業以外の追加スキルは第3四半期以降に順次投入される。両社は、Claudeとの相互利用も進めるとしており、Salesforceは自社の開発現場でClaude Codeを、AnthropicはSlack上でのClaude活用を社内で広げていると説明している。

Salesforceによると、社内でClaudeを組み込んだSlackボットの活用は、年間換算で約810万時間の生産性向上(前四半期比で倍増)につながっているという。AIチャットを「業務システムの入り口」に置き換えようとする流れの一例といえる。

時期予定されている動き
2026年8月26日「Claudeforce」発表。「Salesforce in Claude」をパイロット顧客に提供開始(営業スキル37個)
2026年9月「Salesforce in Claude」オープンベータへ移行
2026年 第3四半期以降サービス・マーケティング・コマース向けの事前構築スキルを順次追加
継続Claude・Salesforce・Slack間の統合を拡大。Slackやagentforceの一部でClaudeを既定モデルに
陣営今回にあたる取り組みアプローチの特徴
Salesforce × AnthropicClaudeforce/Salesforce in ClaudeCRMのデータと操作をClaude側に開放。37スキルを対話から実行
MicrosoftMicrosoft 365 Copilot + Dynamics 365自社スタック内でCRM/ERPとCopilotを密結合。Copilot Studioでエージェント化
GoogleGemini Enterprise(Workspace連携)検索を起点に、コネクタで社内データへ接続してエージェント化
CRM・業務データとAIエージェント連携の3陣営比較

背景:「SaaSpocalypse」とSalesforceの決算

この提携が注目されるのは、発表のタイミングが「SaaSpocalypse(サースポカリプス)」と呼ばれる懸念の真っただ中だったからだ。SaaSpocalypseとは、生成AIが従来型のSaaS(クラウド業務ソフト)の需要を奪うのではないかという投資家の不安から、SaaS企業の株が広く売られた現象を指す。Salesforce株も2026年に入って大きく下落していた。

一方で同日発表されたFY27 Q2決算は、売上高が113.5億ドル(前年同期比11%増)で市場予想を上回った。サブスクリプション・サポート収入は108億ドル(同12%増)。純利益はAnthropicを含む戦略的投資の評価益(約26億ドル)もあって前年から大きく伸び、非GAAPの1株利益も予想を上回った。決算を受けてSalesforce株は時間外取引で一時14%前後上昇し、その後、複数のアナリストが目標株価を引き上げたと報じられている。Marc Benioff(マーク・ベニオフ)CEOは、SaaSpocalypseという論調は「ナンセンス」だと述べたとされる。

まとめ:AIが「業務ソフトの入り口」になる動きの一手

Claudeforceは、AIチャット(Claude)を、CRMという基幹業務システムの新しい入り口にしようとする取り組みだ。営業担当者はSalesforceを開かずに、Claudeとの対話で案件を確認し、その場で更新まで済ませられる——というのが目指す姿になる。まずは37個の営業スキルとパイロット提供から始まり、2026年9月のオープンベータ、そして第3四半期以降のスキル拡大へと段階的に広がっていく。

同時に、AIがSaaSを飲み込むのか、それともSaaSがAIに業務データを供給する側として不可欠であり続けるのか、という論点にSalesforceが「両社で組む」という答えを出した形でもある。MicrosoftやGoogleも同様に業務データとエージェントの接続を進めており、エンタープライズAIの主導権争いは今後さらに激しくなりそうだ。

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