Googleは2026年8月19日、Google Chatの新機能「Ask Gemini in Chat」を発表した。2026年8月26日から提供が始まり、最大15日間かけて段階的にロールアウトされる。これまでChatの右側に表示されていたGemini側サイドパネルの機能の多くを置き換えるもので、チームでのリアルタイムなやり取りの中心であるGoogle Chatに、そのままGeminiの力を持ち込めるようにするのが狙いだという。
公式ブログでは「Ask Gemini in Chat」を、仕事のための統一コマンドラインと位置づけている。会話を離れることなくGmail・Drive・Calendarなど社内のWorkspaceデータを横断的に検索し、必要な情報を集めたり、画像生成や重要な更新のドラフト作成といったコンテンツ作成もその場で行える。複数の会話をまたいだやり取りを一箇所でキャッチアップできる点も特徴とされる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年8月19日 |
| 正式名称 | Ask Gemini in Chat |
| ロールアウト開始 | 2026年8月26日(最大15日間で段階展開) |
| 対象プラン | Business Standard/Plus、Enterprise Standard/Plus、Google AI Pro for Education |
| 対応言語 | 当面はGoogleアカウントの言語設定が英語のユーザーのみ |
| 利用制限 | 2026年10月1日まではプロモーションで上限緩和、以降は通常の利用制限を適用 |
新しいAsk Gemini in Chatは、Workspace Intelligenceと呼ばれる仕組みを軸に、Gmail・Drive・Calendarといった複数のWorkspaceサービスをまたいで情報を集められる点が中心的な特徴だ。「探している答えをすばやく見つける」「会話を離れずにコンテンツを作る」「これまでの議論に追いつく」「必要なアクションを取る」といった機能が、ひとつの入力欄から呼び出せる形にまとめられている。
個別の会話セッションとして構造化されている点も従来のサイドパネルとの違いだ。ひとつの話題ごとにセッションを区切って整理できるため、複数の調べ物や作業を並行して進めても内容が混ざりにくくなる設計だという。
今回のアップデートは、既存のGemini側サイドパネルの機能の多くを置き換える形で導入される。公式発表によれば、切り替えに伴いGemsへのアクセスは廃止され、これまでサイドパネルで蓄積していた会話履歴も新しいAsk Gemini in Chatには移行されない。長年サイドパネルで特定の使い方を作り込んできたユーザーにとっては、運用を一部見直す必要が出てきそうだ。
| 比較項目 | 従来のGemini側サイドパネル | Ask Gemini in Chat |
|---|---|---|
| 表示形式 | Chat画面右側の固定パネル | 統一コマンドバー形式 |
| 検索範囲 | 限定的 | Gmail・Drive・Calendarを横断 |
| Gemsへのアクセス | 可能 | 廃止 |
| 既存の会話履歴 | - | 引き継がれない |
職場向けチャットにAIを統合する動きは、GoogleだけでなくMicrosoftやAnthropicでも進んでいる。Microsoft 365 Copilotは、Teams上のCopilot Chatに「Work IQ」と呼ばれる仕組みでメール・会議・チャット・ファイルの情報を組み合わせ、会議の内容を要約した動画付きリキャップを生成するなど、会議データを起点にした文脈把握に力を入れている。一方AnthropicのClaude Coworkは、Chrome上で始めた作業をスマートフォンやPCなど別の端末に引き継いで続けられる点を軸に据えており、各社でAIをチャット・協働ツールに組み込むアプローチには違いが見られる。
| 項目 | Ask Gemini in Chat | Copilot in Teams | Claude Cowork |
|---|---|---|---|
| 提供元 | Microsoft | Anthropic | |
| 組み込み先 | Google Chat | Microsoft Teams | Chrome・モバイル・PC |
| 特徴的な機能 | Workspace横断検索・コマンドバー | Work IQ・会議の動画リキャップ | 端末をまたいだ作業継続 |
それぞれの機能は前提となる契約プランや対応言語、ロールアウト時期が異なるため、実際に業務で使う際は自社の契約状況と対応スケジュールを確認しておく必要がある。Ask Gemini in Chatについても、2026年10月1日までのプロモーション期間を過ぎると通常の利用制限が適用される点は、社内展開を検討する際に踏まえておきたいポイントだ。
Ask Gemini in Chatは、Google Chatを単なるメッセージングツールから、Workspace全体を横断して情報を探し、その場でコンテンツを作れる「仕事の起点」に変えようとする取り組みといえる。従来のサイドパネルからの移行に伴いGemsの廃止や会話履歴の非継承といった変更点もあるため、既存ユーザーは切り替え前に運用の見直しをしておきたい。Microsoft・Anthropicも同様に協働ツールへのAI統合を進めており、職場向けAIチャットの主導権争いは今後さらに激しくなりそうだ。