CNBCの報道によれば、AIルーティングサービス「OpenRouter」の利用データを分析したところ、米企業が消費するAPIトークンのうち中国製オープンウェイトモデルの割合が2026年2月8日の週以降、毎週30%を上回り続け、ピーク時には46%に達したという。
直近12カ月平均では11%だったのに対し、2025年上期はわずか4.5%。1年強で10倍以上に急拡大した計算になる。2026年2月9日〜15日の週には、中国製モデルの週間利用量が4.12兆トークンに達し、OpenRouterの週間利用量では初めて米国製モデルの利用量を上回ったとも報じられている。
| 時期 | 中国製モデルのシェア | 備考 |
|---|---|---|
| 2025年上期 | 4.5% | まだ試験導入の段階 |
| 直近12カ月平均 | 11% | 徐々に浸透 |
| 2026年2月8日の週〜 | 30%超が定着 | 毎週30%を上回る状態が継続 |
| 2026年7月時点のピーク | 最大46% | CNBC報道時点の最高値 |
※ CNBCが2026年7月7日に報じた調査記事と、同記事を引用した複数メディアの報道をもとに構成。数値はOpenRouterのルーティングデータに基づく。
ベンダー別に見ると、単体で最大のシェアを握るのは中国のDeepSeekだ。OpenRouter全体のルーティングトークンのうちDeepSeekが17.6%(週間5.13兆トークン)を占め、プラットフォーム最大のベンダーになったと報じられている。AlibabaのQwenも13.9%(週間2.77兆トークン)で続いており、この2社だけで3割超を占める計算だ。
一方、米国勢の合計シェアは35.7%で、うち最大手のAnthropicが14.8%を占めるとされる。OpenRouter自体の総流通量も、2025年4月の週間約5兆トークンから2026年4月には20兆トークン超へと4倍以上に拡大しており、市場全体が急拡大するなかで中国勢がシェアを伸ばした形だ。
| ベンダー | シェア | 週間トークン量 |
|---|---|---|
| DeepSeek(中国) | 17.6% | 5.13兆トークン |
| Alibaba Qwen(中国) | 13.9% | 2.77兆トークン |
| Anthropic(米国・最大手) | 14.8% | 非公開 |
| 米国勢 合計 | 35.7% | 非公開 |
※ GLM-5.2(Zhipu AI/Z.ai)やKimiなど、DeepSeek・Qwen以外の中国製モデルも含めた合計が30〜46%のシェアとなる。
報道をまとめると、中国製モデルの急拡大には主に3つの理由があるとされる。
実際に乗り換えを進めた企業の事例も報じられている。仮想通貨取引所のCoinbaseは、社内の1,200を超えるAIエージェントの既定モデルを、Zhipu AIの「GLM-5.2」とMoonshot AIの「Kimi K2.7 Code」に切り替える社内ゲートウェイを構築し、AIの利用量を増やしながら支出をほぼ半減させたとCEOのブライアン・アームストロング氏が明らかにしたという。
AIエージェント企業のLindyは、AnthropicのClaudeからAPIトラフィックの100%をDeepSeekへ移行したと報じられており、大幅なコスト削減を実現したとされる。ほかにもAirbnbやUberなど複数の大手企業が、公表はしていないものの本番環境で中国製オープンウェイトモデルを採用していると伝えられている。
| 企業 | 対応内容 | 報じられている効果 |
|---|---|---|
| Coinbase | 1,200超のAIエージェントをGLM-5.2・Kimi K2.7 Codeへ切替 | AI支出をほぼ半減 |
| Lindy | Claudeからのトラフィックを100%DeepSeekへ移行 | 大幅なコスト削減 |
| Airbnb・Uberほか | 本番環境で中国製モデルを採用(詳細非公表) | 複数メディアが報道 |
※ 企業名や具体的な削減率は各社の公表内容および報道時点の情報に基づきます。
この潮流は、OpenAIやAnthropicにとって無視できない圧力になりつつある。米国勢の合計シェアはまだ35.7%を維持しているものの、コスト意識の高い企業から中国製モデルへの切り替えが進めば、価格戦略の見直しを迫られる可能性があると報道は指摘する。実際、Claude Sonnet 5やGPT-5.6のLunaなど、低価格帯のモデル投入が相次いでいる背景の一つとして、この価格競争が影響しているとの見方もある。
一方で、中国製オープンウェイトモデルの企業利用拡大については、データの取り扱いやセキュリティ、輸出規制など安全保障上の懸念を指摘する声も一部にあり、今後の企業導入や規制対応の動向が焦点になりそうだ。
「性能が並んだら、あとは値段」——この報道が示すのは、AI選定の基準がいよいよブランドや話題性から、純粋なコストパフォーマンスへと移り始めているという現実かもしれない。OpenAIやAnthropicが今後どう対抗するのか、価格戦略の行方に注目が集まる。
参考リンク(主要メディア): CNBC / Yahoo Finance / The Decoder(Coinbase事例)